災害に備えた家づくりのポイントは? 抑えておきたい3つのポイントを解説!
- houselab39
- 2024年4月27日
- 読了時間: 8分
日本は地震や台風といった自然災害の被害が多い国です。地震や台風などの災害から住宅や家族の生活を守るためにできることは何でしょうか?
本記事では、災害に備えた家づくりの3つのポイントを詳しく解説します。災害による被害の実態や地盤、住宅の構造といった家づくりに直接関わる内容です。
今家づくりを検討している方や「家づくりはまだ先だけど災害対策は気になる」という方は、ぜひご覧ください。
1.家を襲う災害リスクとは

日本は、地震や台風といった自然災害が頻繁に発生する国です。暮らしを守るために、自然災害に強い家づくりは不可欠です。耐震設計の基準、災害に強い住宅の選び方、災害リスクを把握する方法、家族を守るための緊急時対策など、安全かつ快適な暮らしを実現するために、今から準備を始めましょう。
(1)自然災害の発生状況
日本は今まで、非常に多くの自然災害を経験しています。統計によれば、あらゆる自然災害の中でも台風による災害の発生件数が全体の約57.1%と最多です。
一方で自然災害による被害額を見てみると、総被害額の80%以上を地震が占めています。次いで被害額が大きい災害は台風14.0%、洪水3.3%です。このデータは地震の破壊力と経済的な打撃の大きさを物語っています。日本に住む私たちは、起こり得る自然災害を踏まえてリスクを正確に理解し、適切な対策を講じる必要があるでしょう。
(2)日本住宅は災害危険と隣り合わせ
日本は地形・地質・気象の特性により、季節を問わず災害に見舞われやすい厳しい環境にあります。日本の国土は約7割が山地や丘陵地で、土砂災害や洪水が起きやすい地理的条件が揃っており、梅雨や台風による大雨の際に大きな災害が発生する地域もあります。国土が台風の通り道となっている点も、災害が多い要因といえるでしょう。
さらに、気象庁のデータによると日本の年平均気温は世界平均の上昇率を上回り、気候変動によって大雨や短時間強雨の発生が増えているといわれています。
日本で発生する可能性のある災害は地震や台風などさまざまです。新築住宅の建設はあらゆる種類の災害に備え、防災対策を含めた住まいの設計を検討しましょう。
2.災害に強い家を建てるために押さえておきたい3つの観点

災害に強い家に押さえておきたい3つの観点は以下のとおりです。
① 地盤の強さ
② 構造の強さ
③ 保険やローンで万が一に備える
今後の地震発生に備え、住宅を建築する前に地盤や住宅の構造について確認すると良いでしょう。また災害にあった際の経済的な負担を軽減し、早期に生活を再建するためには、火災保険や地震保険による備えも重要です。
1つずつ詳しく解説していきます。
(1)地盤の強さ
安全な住まいづくりには、強固な地盤が不可欠です。地盤が弱いと地震の際に、建物が倒壊する要因になるかもしれません。
地盤の強度を確認するするには「ハザードマップ」で自分の住む地域が地震や水害などに対して強いかどうか調べてみましょう。
(2)構造の強さ
安全な住まいづくりの基礎となる地盤について調べたら、次は地震の揺れに強い住宅を建てるのがポイントです。
たとえば建物が地震の揺れに強いかどうかは、建物の構造と使用される材料に大きく依存します。地震によって建物には上下方向の力が加わりますが、その力の流れをスムーズにさせて、住宅自体に大きなストレスがかからない構造にすると良いでしょう。
また屋根材は、重い瓦よりも軽量なコロニアルやガルバリウム鋼板を使用すると、階下への荷重を抑えられるため地震によって倒壊するリスクを軽減できます。
(3)住宅の構造
住宅の耐震性を高める主な方法は以下の3つです。
① 耐震構造:地震の揺れに耐える
② 制震構造:地震の揺れを吸収・制御する
③ 免震構造:建物に地震の揺れを伝えない
耐震構造は、建物自体が地震の揺れに耐えられるように、柱や梁・耐力壁・基礎などの構造体を強化し、建物全体として揺れに耐える構造です。多くの一戸建て住宅で採用されており、筋交いや耐力壁を用いることで建物の揺れに強い住宅になります。
制振構造は、建物内部に特殊な装置を設置して地震のエネルギーを吸収し、揺れを減少させる構造です。この方法は特に3〜5階建てのマンションなどで好まれ、建物へのダメージを軽減させる効果があります。
免震構造は、建物と基礎の間に揺れを吸収する特殊な装置を設置して、地震による揺れを建物に伝えないようにする構造です。一戸建てで利用されるケースは少なく、マンションなどで採用されます。
(4)停電や災害に備えた設計
家を建てる際には、日常の快適さだけでなく災害時に対する備えも考慮した建築計画が大切です。
大規模な災害発生時には、広範囲において停電が発生する可能性が高いと考えられ、日常で必要な照明器具や通信機器が使えなくなるかもしれません。電気が使えないと不便なだけではなく、必要な情報が入りづらくなるなどの不都合も考えられます。
停電に備えた住宅設備としては、太陽光発電や蓄電池が挙げられます。太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気に変換し、自宅で利用できるシステムです。日常的に電力コストを削減しつつ災害時には自立した電力供給源として機能します。
蓄電池は発電した電力を貯められる設備です。太陽光発電は太陽が出ている時でなければ電力を供給できませんが、電気を蓄電池に貯めておけば天候や時間帯にかかわらず電気を利用できます。
加えて、太陽光発電や蓄電池は二酸化炭素の発生が少なく、環境に優しい設備です。災害に強く、環境に配慮した家づくりを心がければ、長い間安心して暮らせる住環境となるでしょう。
(5)各種保険に加入しておく
自然災害によって大きな被害が発生すると、精神的・経済的に大きなダメージがあるでしょう。その中でも経済的な備えは、その後の生活再建に必要不可欠です。
ここでは、災害に備えられる保険について解説します。地震や水災・火災・風災などによる損害をカバーできる保険について学びましょう。
(6)ローン返済中の災害で被災するとどうなる?
住宅ローンの返済中に被災し、自宅が倒壊したり津波で流されたりしても基本的にローンの返済は続きます。
被災状況によっては被災者生活再建支援法による給付金の対象となり、市町村への申請を通して被災者生活再建支援法人から最大300万円の支援金を受けられる可能性があります。しかし、住宅の建て替えや修繕費用としては足りないかもしれません。
通常の住宅ローンは被災しても返済が続きますが、ローンの支払が免除される自然災害時債務免除特約を取り扱っている金融機関もあります。例えば銀行によっては、建物が全壊の場合、24回分の支払いが免除されます(各種条件あり)。なお、金融機関や災害の程度、被害の大きさに応じて支払い免除回数が異なります。
また、特約を付加する条件には借入金額や住宅の建築年数などがあり、金融機関によっては金利が上乗せされるケースもあるため、事前に内容を確認しましょう。
(7)保険で万が一に備える
住宅の損害を補償する保険に加入し、自然災害による経済的なダメージに備えるのも大切です。住宅の損害を補償する保険には火災保険と地震保険があります。
火災保険は火災や風害・水害といった自然災害によって建物や家財に損害が発生した場合に補償する保険です。補償対象には建物本体や門・塀・物置などに加え、家具や衣服などの家財が含まれます。ただし地震や噴火によって発生した損害や地震に伴って発生した津波による損害は補償されません。
地震保険は地震や噴火、地震にともなう津波によって建物や家財に損害が発生した場合に補償する保険です。居住用建物または家財が損害を受けた時に保険金が支払われます。保険金額は損害の程度によって全損・大半損・小半損、または一部損に分けられています。
火災保険は広い範囲の被害をカバーするイメージですが、地震による被害は補償されません。地震による被害を補償する地震保険も合わせて検討し、万が一の経済的なダメージに備えましょう。
3.災害に強い家に関するよくある質問
(1)Q.災害に強い家の間取りに特徴はある?
正方形に近い間取りは地震の揺れに対して均等に力を分散できるため、耐震性が高まります。台風に強い間取りも正方形です。逆に間取りに凹凸があると力が偏りやすいため正方形に比べて災害強度は弱いといえます。
(2)Q.住みながらできる災害対策は?
地震対策として家具の配置を見直したり、固定したりして転倒を防ぎましょう。また非常時に使えるように備蓄品を用意したり、水や保存がきく食料などを備えた防災バッグを作ったりするのも効果的です。
4.まとめ
今回は、自然災害のリスクとリスクに備えた家づくりのポイントを解説しました。ハザードマップなどを利用して地盤の強い地域を探したり、災害に強い構造や間取りを検討したりと今からできることはあります。
今すぐでなくても、住宅の購入や建築が気になりだしたら専門家の意見を聞いてみましょう。