屋根塗装や外壁塗装すべき最適な季節はいつ?季節ごとのメリット・デメリットをご紹介します!
- houselab39
- 2024年2月17日
- 読了時間: 13分

一般の戸建て住宅において、外壁や屋根の塗装工事はどの季節に行うのが良いのかについて解説します。塗装工事はどの季節に施工するのが最も良いのかについては、いまいち判断がつかないという方が多いのではないでしょうか?
例えば、塗料の乾燥だけを考えると、気温が高い夏場が良さそうに感じますが、日本の夏は突然のゲリラ豪雨が多くなっていますし、湿度の高さも気になります。その逆に、冬場の塗装工事は、空気が乾燥している、降雪地帯でなければ天候が安定しているなど、こちらも塗装工事に適した気候なのではないかと思えます。ただ、冬場に関しては、気温の低さや日照時間の短さなど、明確な弱点も存在しています。
こういったことから、自宅の外壁や屋根塗装を行いたいのだけど、「いつ塗装工事を依頼すれば良いのか分からない…」という声をよく耳にするのです。そこでこの記事では、日本の気候と塗装工事の関係について解説していきます。
1.外壁の塗り替えタイミングの見極めってどうする?
外壁などの再塗装を行うタイミングの見極め方について簡単にご紹介します。建物は風雨などの自然現象の影響を受け続けますので、徐々に汚れや劣化などが目立ってきてしまいます。新築で購入した住宅でも、年月が経過していけば、徐々に経年劣化が進み、塗膜本来の効果を発揮できなくなるので、塗料の塗り替えが必要になります。
特に注意しておきたいのは、外壁などの塗装の劣化については、単に見た目が汚れて見えるという問題ではなく、塗膜が本来持つ防水などの効果を発揮できなくなることから、外壁からの雨漏りが発生し、建物の寿命を急速に縮めてしまう恐れがあるのです。
例えば、長年外壁のメンテナンスを怠っている住宅などでは、外壁にクラック(ひび割れ)などが目立ちますので、そこから雨水や害虫の侵入を許してしまうことになるわけです。
したがって、住宅の寿命を延ばすためにも、外壁や屋根の塗装については、最適なタイミングを見極められる知識を持っておかなければならないと考えましょう。ここでは、「そろそろ塗装が必要かな?」と考えるべき目安をいくつかご紹介します。
(1)外壁・屋根の塗り替えタイミング(10年周期はあくまで目安)
一般的に、戸建て住宅の外壁・屋根の塗り替えは10年周期が推奨されています。
これは、新築時に採用される塗料の耐用年数が約10年前後であることが理由で
① 塗料の種類・塗り方によって耐用年数は変化する
② 建築材にも耐用年数があり、素材交換が必要になる場合もある
10年周期はあくまで目安であり、以下の要素を総合的に判断する必要があります。
① 塗料の種類・グレード
② 塗り方
③ 外壁・屋根材の種類
④ 地域の気候条件
⑤ 建物の状態
塗料選びのポイント
① 耐用年数
② 価格
③ 性能
④ 色
⑤ 質感
複数の塗料を比較検討し、予算や希望に合ったものを選ぶことが重要です。専門業者に相談して、最適な塗料を選んでもらうのも良いでしょう。適切な塗料選びと定期的なメンテナンスで、建物を長持ちさせましょう。
その他、考慮すべき点
① 建物の立地環境
② 屋根の形状
③ 外壁の素材
これらの点を考慮することで、より適切な塗料を選ぶことができます。
(2)外壁・屋根塗装(塗料の種類と耐用年数)
外壁や屋根の塗装には、さまざまな種類の塗料が使われ、それぞれ耐用年数が異なります。適切なタイミングで再塗装を行うためには、塗料ごとの耐用年数を理解しておくことが重要です。耐用年数とは、「通常使用において、メーカーや施工業者が塗料の効果を保証できる期間」を指します。
一般住宅の屋根や外壁に使用される主な塗料とその耐用年数は以下の通りです。
① アクリル樹脂塗料 : 3 ~ 5年
② ウレタン系塗料 : 6 ~ 10年
③ シリコン系塗料 : 8 ~ 15年
④ ラジカル系塗料 : 10 ~ 15年
⑤ フッ素系塗料 : 15 ~ 20年
近年、価格と性能のバランスが良い シリコン系・ラジカル系塗料 が一般住宅で多く採用されています。フッ素系塗料 は最も耐用年数が長く、高性能ですが、価格が高くなります。
塗料選びのポイント
① 耐用年数
②価格
③性能
④色
⑤質感
複数の塗料を比較検討し、予算や希望に合ったものを選ぶことが重要です。
専門業者に相談して、最適な塗料を選んでもらうのも良いでしょう。
適切な塗料選びと定期的なメンテナンスで、建物を長持ちさせましょう。
その他、考慮すべき点
① 建物の立地環境
② 屋根の形状
③ 外壁の素材
これらの点を考慮することで、より適切な塗料を選ぶことができます。
(3)屋根・外壁の塗り替えサイン(症状別チェックリスト)
塗料の耐用年数は目安であり、実際の塗り替えタイミングは、屋根や外壁の状態を総合的に判断する必要があります。
ここでは、「そろそろ塗り替えが必要かも?」と考えるべき症状をご紹介します。
① チョーキング
外壁や屋根の塗り替えを検討する際、最も有名なのが チョーキング現象 です。
これは、塗膜が劣化し、顔料が粉状になって表面に現れる現象です。外壁や屋根に触ると、チョークの粉のようなものが付着します。チョーキングは、塗膜の劣化を示す初期症状であり、放置すると以下の問題が発生します。
・塗膜の劣化が進行し、ひび割れなどが生じる
・防水性が低下し、雨漏りの原因になる
・美観が損なわれる
そのため、チョーキング現象を発見したら、早めの再塗装がおすすめです。
チョーキング現象の確認方法
・壁や屋根を触ってみて、白い粉が付着するかどうかを確認する
・白い粉が付着している場合は、手でこすってみると、さらに粉が落ちる
② 変色・退色
外壁や屋根の変色・退色は、紫外線によって塗料中の顔料や樹脂が劣化することで起こります。雨漏りなどの緊急性はないものの、建物の美観を大きく損なうため、早めの塗り替えがおすすめです。
変色・退色の原因
紫外線: 塗料中の顔料や樹脂を分解し、変色・退色を引き起こす
風雨: 塗膜を劣化させ、変色・退色を加速させる
汚れ: 塗膜に付着した汚れが、紫外線による劣化を促進する
変色・退色の症状
外壁や屋根の色が薄くなる
色ムラができる
白っぽくなる
光沢がなくなる
変色・退色を発見したら、以下の対策を検討しましょう。
塗り替え: 塗膜を新しくすることで、美観を回復し、建物を保護する
塗装保護剤: 塗膜の劣化を抑制し、変色・退色を遅らせる
定期的な点検と適切なメンテナンスで、建物の美観を保ちましょう。
③ カビ
塗膜が劣化すると、防水効果が低下し、外壁や屋根に水分が浸透しやすくなります。 日当たりの悪い場所では、高湿状態が続き、カビが発生しやすくなります。
外壁や屋根にカビが発生すると、以下の問題が発生します。
建物の美観を損なう
塗膜の劣化を加速させる
建物の内部にカビが侵入し、木材を腐食させる
アレルギーなどの健康被害を引き起こす
カビが発生した場合は、早急に塗り替えが必要です。
塗り替え以外にも、以下の方法でカビを除去することができます。
高圧洗浄でカビを洗い流す
カビ取り剤を塗布してカビを除去する
これらの方法は、一時的な解決策であり、根本的な解決には塗り替えが必要です。
④ ひび割れ
外壁材や塗膜が下地の劣化などの原因で割れる現象をクラックと呼びます。最初は髪の毛ほどの細い「ヘアークラック」と呼ばれるひび割れですが、放置すると雨水が侵入し、雨漏りに発展する恐れがあります。
クラックの種類
ヘアークラック: 髪の毛ほどの細いひび割れ
微細クラック: ヘアークラックより太いひび割れ
構造クラック: 建物構造に影響を与えるひび割れ
クラックを発見したら、以下の対策を検討しましょう。
軽微なクラック: シーリング材などで補修する
広範囲なクラック: 塗り替えを行う
構造クラック: 専門業者に調査・診断を依頼し、適切な補修を行う
いずれの場合も、早急な対応が必要です。
⑤ 塗装の膨れ ⇒ 剥がれ
塗装が膨れたり剥がれたりするのは、塗膜内部に水が侵入し、密着性を失っている証拠です。放置すると、以下の問題が発生します。
外壁材や屋根材の劣化
雨漏り
建物の美観の損失
再塗装などのメンテナンス
専門業者による調査・診断
定期的な点検と適切なメンテナンスで、塗装の膨れと剥がれを予防し、建物を長持ちさせましょう。
外壁や屋根の塗装は、紫外線や風雨の影響により徐々に劣化が進行します。そして、上記のような症状で、住人さんに塗装の状態を知らせてくれます。外壁塗装や屋根塗装は、多くの場合、「雨漏りしたから」「カビが生えてしまったから」など、既に劣化がかなり進行してから検討する方が多いです。しかし、このような状態になるまで再塗装を遅らせてしまうと、塗装の問題だけでなく、外壁材や屋根材そのものの劣化まで急速に進行させてしまう恐れがあるのです。
大切なマイホームですから、出来るだけ長く良い状態を保っていたいと誰もが考えると思いますので、外壁や屋根の再塗装は、チョーキングや変色など、塗膜の劣化初期で行うのがおすすめと考えてください。
2.塗装工事はどの季節が適している?
それではここから、本題の「塗装工事に適した季節は?」という部分について解説していきます。最初に言っておきますが、現在では、塗料の品質が飛躍的に向上して、一部の気候条件さえ満たしていれば、ほぼ通年で塗装工事が行えるようになっています。
塗料メーカーが定める気候条件は、「気温5度以上」「湿度85%未満」「雨・雪・強風でない時」で、これらの条件を満たしていれば、塗装工事に適した気候と言っても良いでしょう。ここでは、四季によって気候条件が大きく異なる日本で、塗装工事を行うにあたって、季節ごとのメリットとデメリットをまとめていきます。
(1)3~5月:(春)
① 春が塗装工事におすすめな理由
気温・湿度が安定
塗装しやすい気候で、仕上がりが良好
工期が安定し、予定通りに進めやすい
天候による制約が少ない
梅雨や台風、降雪などの影響を受けにくい
雨天による工期延びのリスクが少ない
② 春の塗装工事の注意点
繁忙期のため、業者選びが難しい
予約が埋まりやすく、希望日程での施工が難しい
費用が高騰する傾向がある
業者によっては、割引やサービスが受けにくい
③ 春に塗装工事を行う場合の対策
早めの業者探しと予約
数ヶ月前から準備を始め、複数の業者を比較検討
早めに予約することで、希望日程での施工を実現
費用交渉
複数業者から見積もりを取り、比較検討
繁忙期であることを理解した上で、交渉を行う
春は塗装工事にとって非常に適した季節ですが、繁忙期であるため、事前に準備しておくことが重要です。早めの業者探しと費用交渉を行い、希望通りの塗装工事を実現しましょう。
(2)6月:(梅雨時期)
① 梅雨時期の塗装工事のメリット
比較的リーズナブル
閑散期のため、費用が安くなる
キャンペーンや割引を利用できる
業者選びがしやすい
予約が取りやすく、希望日程での施工がしやすい
複数の業者から見積もりを取り、比較検討しやすい
② 梅雨時期の塗装工事のデメリット
工期が長くなる可能性が高い
天候不良で施工ができない日が多い
予定よりも工事が長引く可能性がある
足場が組まれた状態が長く続く
③ 梅雨時期に塗装工事を行う際の注意点
業者選び
雨天時の施工に実績のある業者を選ぶ
悪天候時の対応について確認する
契約内容をしっかり確認する
工期
天候による工期の遅延を考慮する
十分な余裕を持ったスケジュールを立てる
生活への影響
足場設置による生活への影響を理解する
長期間の工事への準備をする
梅雨時期の塗装工事は、費用を抑えられるというメリットがありますが、工期が長くなる可能性があるというデメリットもあります。業者選びやスケジュール管理をしっかり行うことで、リスクを抑え、満足度の高い塗装工事を完成させましょう。
(3)7~8月:(夏)
① 夏の塗装工事のメリット
塗料乾燥が早い
気温が高く、日照時間が長い
工期が短くて済む場合が多い
スムーズな施工
晴天が続き、作業しやすい
一日に施工できる面積が広い
比較的予約が取りやすい
春と秋に比べて人気が低い
好きなスケジュールで施工可能
②夏の塗装工事のデメリット
天候による工期遅延
夕立やゲリラ豪雨による中断
台風の影響
お盆休み
施工スケジュールに影響
足場が設置されたままになる場合
③夏に塗装工事を行う際の注意点
天候リスクを考慮
工期に余裕を持たせる
悪天候時の対応について確認
お盆休みの影響
スケジュールを調整
足場設置の期間を考慮
夏の塗装工事は、塗料乾燥が早く、工期が短くて済むというメリットがありますが、天候による工期遅延や、お盆休みの影響などのデメリットもあります。これらの点を考慮し、スケジュール調整や業者選びを慎重に行うことが重要です。
(4)9~11月:(秋)
① 秋の塗装工事のメリット
塗装しやすい気候
天候が安定し、晴天が続くことが多い
空気が乾燥し、塗料が乾きやすい
気温が下がり、作業員も過ごしやす
快適な生活環境
塗装工事中に窓を閉めていても過ごしやすい
夏場の暑さや臭いを気にしなくて良い
② 秋の塗装工事のデメリット
天候による工期遅延
台風や秋雨前線の影響
工期が伸びてしまう可能性
繁忙期によるコスト増加
予約が取りにくい
価格が上がりがち
値下げ交渉が難しい
③ 秋に塗装工事を行う際の注意点
早めの予約
半年以上前から業者と打ち合わせ
予約を確保
天候リスクへの対策
工期に余裕を持たせる
悪天候時の対応について確認
費用交渉
複数の業者から見積もりを取る
繁忙期であることを理解した上で交渉
秋は、塗装工事に適した季節ですが、台風や秋雨前線などの天候リスクや、繁忙期によるコスト増加などのデメリットがあります。これらの点を考慮し、早めの予約や費用交渉など、対策を講じておくことが重要です。
(5)12~2月:(冬)
① 冬の塗装工事のメリット
乾燥しやすい気候
空気が乾燥し、塗料が乾きやすい
仕上がりが美しい
閑散期によるコストメリット
予約が取りやすい
値段交渉しやすい
② 冬の塗装工事のデメリット
工期が長くなる
日照時間が短い
朝は霜などで塗装面が濡れている
気温制限
一般的な塗料は5℃以下では施工できない
工期が乱れる可能性
③ 冬の塗装工事を行う際の注意点
積雪地帯は冬場の施工不可
11月後半から3月頃までは施工困難
日照時間の短さ
工期が長くなる
スケジュールに余裕を持たせる
気温制限
5℃以下は施工不可
超低温下でも施工可能な塗料の検討
冬場は、乾燥した気候で塗料が乾きやすいというメリットがありますが、日照時間が短く、気温制限があるため、工期が長くなるというデメリットがあります。積雪地帯は冬場の施工が不可となります。
(6)塗装工事に最適な季節は?
どの季節に塗装工事を行う場合でも、メリットとデメリットが存在します。ただ、塗装工事の工程をスムーズに進めることを考えた時には、塗料の乾燥に適した条件をどれだけ揃えられるのかが勝負となります。そして、塗料の乾燥(硬化)に適した条件は、一般的に気温が15~30℃で湿度が75%以下とされています。
つまり、しっかりと塗料を乾燥させることを考えた場合、空気がある程度乾燥していて、それなりの気温の高さがあり、天気も安定する「春(4~5月)」「秋(9~10月)」がベストシーズンだと言えるでしょう。その逆に、塗装工事に向かないと考えられるのは、梅雨時期で、真夏や真冬については、気候的には向いているとは言えないものの、工事の条件(コストやスケジュール)が良くなるので、多少工期がかかっても構わないと考えている方にとってはおすすめかもしれません。
3.まとめ
今回は、一般住宅の塗装工事について、塗装工事が必要かどうかを見極める目安や、実際に塗装工事を行う場合、どの季節に施工を行うのが良いのかをご紹介しました。住宅の屋根や外壁については、表面に塗装が施されていることで、さまざまな機能性が得られています。そして、屋根や外壁の塗装に関しては、一生その機能を保持し続けるわけではなく、経年劣化ら自然現象などの外的要因によって徐々に劣化が進行してしまうと考えなければいけません。
塗装は建物の外観イメージを良くするだけのものと思われがちですが、全くそのようなことはなく、塗装の劣化を放置すると、雨漏りなどの直接的な住宅トラブルに繋がってしまう恐れがあります。
今回は、「そろそろ再塗装が必要かな?」と考えるべきポイントや各季節ごとに塗装工事のメリット・デメリットをご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


