寄棟に切妻?屋根形状ごとの特徴とメリット・デメリットをご紹介!
- houselab39
- 2024年2月17日
- 読了時間: 6分

風雨から家族を守る屋根は、住宅にとってなくてはならない存在です。しかし、その役割は単なる雨よけではありません。雨漏りを放置すれば、木造住宅の最大の弱点である水による劣化を招き、建物強度の低下やカビ・害虫被害、さらには家族の健康被害まで引き起こす可能性があります。
大切な住まいを守るために、定期的な屋根点検と適切なメンテナンスは欠かせません。そして、近年増えているスタイリッシュな屋根形状にも、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。
この記事では、マイホームの寿命を延ばすために役立つ屋根形状の知識をご紹介します。
1.近年主流の屋根形状の特徴と注意点について
近年新築業界などで主流になっている屋根形状の特徴とそれぞれのメリット・デメリットを簡単にご紹介します。住宅の屋根が果たしている役割は「家の中に住む人を風雨から守る」のが屋根の役割と考える人が多いと思います。もちろん、こういった役割を持っているのは間違いないのですが、このほかにもさまざまな役割があります。屋根が持つ主な役割は以下のようなものです。
家や住人を風雨や直射日光から守る
台風や集中豪雨などの自然災害から家や住人を守る
家の外観の印象を良くする
室温の上昇を防ぐなど、住まいを適温に保つ
太陽光発電を行う
屋根は、もともと家や住人を風雨から守るためのものだったのですが、住環境が追及される過程で、建物のデザイン性や住空間の快適性を高めるための役割も担うようになっています。さらに近年では、太陽光発電パネルを設置するための場所として屋根が活用されるようになるなど、住宅に付加価値をつけるための場所としても注目されています。
ただし、屋根形状によっては、これらの役割をバランスよく果たせるわけではないケースも少なくありません。ここでは、昔から日本国内で人気の切妻屋根、寄棟屋根や、近年増えている陸屋根、片流れ屋根についてそれぞれの特徴を解説します。
(1)切妻屋根の特徴

伝統と機能性を兼ね備えた定番の形状
① シンプルな美しさ
切妻屋根は、日本古来から親しまれてきた定番の屋根形状です。大棟から両側へ、本を開いたように傾斜する姿は、和風建築と洋風建築どちらにも調和し、時代を超えて愛されています。
② 高い機能性と経済性
構造が単純なため、施工費用やメンテナンス費用が比較的安価で、雨漏りリスクも低いのが特徴です。また、雨水の排水がスムーズで、屋根への負担を軽減します。
太陽光発電にも適している
屋根面のどちらかが南向きであれば、太陽光発電パネルの設置にも適しています。
③ 個性とデメリット
シンプルな美しさ一方で、外観に個性を出しにくいという声もあります。また、妻側と呼ばれる三角形の壁は、雨や直射日光の影響を受けやすく、劣化が早くなる可能性があります。
④ 切妻屋根を選ぶ際の注意点
外観デザイン
妻側のメンテナンス
太陽光発電パネルの設置方向
伝統と機能性を兼ね備えた切妻屋根は、コストパフォーマンスと安心感を求める方に最適です。
④ その他のポイント
換気しやすい構造
屋根裏スペースの活用
地域の気候に合わせた設計
(2)寄棟屋根の特徴

風雨に強い伝統の美しさ
① 四方に流れる優美な曲線
寄棟屋根は、四方に傾斜した屋根面が中央の大棟で交わる、日本古来から親しまれてきた伝統的な屋根形状です。和風のイメージが強いですが、洋風の住宅にも取り入れられ、落ち着いた雰囲気を演出します。
② 強風にも安心の耐風性
四方に屋根面があるため、風圧を分散し、台風などの強風にも優れた耐風性を誇ります。
③ 雨漏りリスクを抑える工夫
複雑な構造は雨漏りリスクを招く可能性もありますが、適切な施工と定期的なメンテナンスによってリスクを軽減できます。
④ 太陽光発電には不向き
屋根面の面積が小さいため、太陽光発電パネルの設置には適していません。
寄棟屋根を選ぶ際の注意点
メンテナンス頻度
太陽光発電の設置
地域の気候
風雨に強く、伝統的な美しさを求める方に最適な屋根形状です。
⑤ その他のポイント
屋根裏スペースの有効活用
換気しやすい構造
デザインのバリエーション
(3)陸屋根(りくやね・ろくやね)の特徴

スタイリッシュなデザインと屋上利用のメリット
① 都会的なモダンスタイル
陸屋根は、平らな形状が特徴的な屋根で、近年、スタイリッシュな外観を求める方から人気を集めています。屋上として活用できる点も魅力です。
② 屋上という特別な空間
屋上は、子供やペットの遊び場、洗濯物干し、ガーデニングスペースなど、様々な用途に活用できます。都会のオアシスとして、家族の憩いの場となるでしょう。
③ メンテナンスは必須
雨水が滞留しやすい構造のため、定期的な防水メンテナンスが必要です。木造住宅の場合、防水対策は特に重要になります。
④ 陸屋根を選ぶ際の注意点
防水メンテナンスの頻度と費用
屋上利用の安全性
地域の気候
デザインと機能性を両立したい方、屋上空間を楽しみたい方におすすめです。
⑤ その他のポイント
勾配による排水性
屋根裏スペースの活用
太陽光発電の設置
(4)片流れ屋根(かたながれやね)の特徴

スタイリッシュなデザインと太陽光発電に最適
① モダンな印象を与える片流れ屋根
近年、デザイン性の高い住宅を求める方から注目を集めているのが、片流れ屋根です。一方向に傾斜したシンプルな形状は、シャープでモダンな印象を与え、建物全体のデザイン性を高めてくれます。
② 太陽光発電に最適な屋根形状
屋根面が南側に向いている場合、太陽光発電パネルの設置面積が広く確保でき、発電効率を高めることができます。
③ 斜線制限にも対応
周囲の建物との距離が近い場合や、建物の高さを制限する斜線制限がある場合でも、片流れ屋根は柔軟に対応できます。
④ 注意点
風雨の影響を受けやすい
雨漏りリスク
外壁の劣化
メンテナンスコスト
デザインと機能性を両立したい方、太陽光発電を積極的に活用したい方におすすめです。
⑤ その他のポイント
屋根裏スペースの有効活用
採光と通気
耐風性の強化
2.まとめ
今回は、さまざまある屋根形状の中でも、現在、日本の新築業界でよく採用される屋根形状の特徴や注意点をご紹介しました。日本国内では、古くから切妻屋根が採用されることが多かったのですが、これは施工性の高さやシンプルで雨漏りに強いなど、屋根形状としてのバランスが非常に良いからです。ただ、建物の外観に個性を出しにくいという点で、他の屋根形状を選択する方も多くなっているようです。
特に、陸屋根に関しては、コロナ禍で外出自粛を求められた際でも、お子様やペットを日光の下で遊ばせることができるという点でここ数年一気に注目度が高くなったように思えます。
屋根は、どのような形状を選んでも、似たような機能性やメンテナンス性を持っていると考えるのは大きな間違いで、建物を長く良い状態で保ちたいのであれば、自宅の屋根形状の特徴をきちんと学んでいかなければならないと考えてください。


