屋根の機能は屋根材で変わります! 屋根材の種類とそれらの特徴をご紹介します!
- houselab39
- 2024年1月13日
- 読了時間: 9分
屋根は常に紫外線や風雨に晒されることになり、建物の中でも最も過酷な条件の中にあります。よって、新築を計画する時やリフォームで屋根の葺き替えを行う時には、屋根に使用する屋根材を慎重に選ぶ必要があります。屋根材なんて建物の外観に関係するだけで、機能的にはどれを利用しても同じだと考えてしまう方も多いですが、この考えは大きな間違いです。屋根に使用する屋根材は機能はもちろん、建物そのものの耐震性能や建築コストに大きな影響を与える重要なポイントになります。
そこで今回は、いろんな屋根材について、それぞれの特徴やメリット・デメリットなどについて解説します。
1.屋根材の種類と特徴について
日本人にとっては、『瓦』が最も身近な屋根材というイメージがありますが、現在の新築事情を考えるとこのイメージも変わってきています。現在では、屋根を軽量化したほうが建物の耐震性が高くなると言われていることもあり、化粧スレートやガルバリウム鋼板製の金属屋根素材のシェア率が伸びています。
なお、日本国内で採用される屋根材については、瓦、スレート、金属屋根の3種類と考えている人もいるのですが、実は屋根材の種類はこれ以外にもたくさん存在します。ここでは、マイナーな屋根材についてもいくつかご紹介します。
(1)スレート屋根

新築業界で長らくトップクラスのシェアを誇るのはスレート屋根です。
スレートは、セメントと繊維素材を加工して、薄い板状にした屋根材です。屋根業界では、スレートという名称よりも「コロニアル」や「カラーベスト」という別称で呼ばれることの方が多いです。
スレート屋根のメリット。
① 材料費、施工費が安い
② カラーやデザインのバリエーションが豊富
③ 施工に対応可能な業者が多い
スレート屋根最大のメリットは、屋根の施工にかかるコストが抑えられる点でしょう。 また、施工が単純なので、多くの業者が対応できるため、相見積もりなども取りやすいです。
スレート屋根のデメリット。
① 再塗装など、小まめなメンテナンスが必要不可欠
② セメントを主原料として薄く成形されているので、気候や人の重さで割れやすい
③ 表面塗装の効果が切れると、乾きにくくなるためカビやコケが生えやすくなる
スレート屋根のデメリットは、定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。これを怠ってしまうと、家の外観イメージを壊す、屋根内に水の侵入を許すなど、さまざまな問題を引き起こします。
スレート屋根の寿命は、適切なメンテナンスを欠かさずに行っている前提で25~30年程度と言われています。スレート屋根を採用した新築の場合、築10年前後で1回目の再塗装メンテナンスが必要になります。2回目の再塗装に関しては、1回目に使用した塗料の耐用年数によって微妙に変わりますが、築20~25年の間に必要になります。つまり、2回目の再塗装メンテナンスについては、屋根材の寿命付近になっているわけです。このため、2回目の再塗装のタイミングで、カバー工法によるリフォームを行う方が多いです。
スレート屋根の施工費の相場は、1㎡あたり4,000円~8,000円程度と考えてください。
(2)ガルバリウム鋼板屋根(金属屋根)

ガルバリウム鋼板屋根は、非常に軽量な屋根材であることから、屋根リフォーム業界で圧倒的なシェアを誇っています。さらにここ数年、新築業界でもガルバリウム鋼板屋根の人気が高くなっており、スレート屋根と同等もしくはそれ以上のシェア率と言われています。
ガルバリウム鋼板は、薄い鉄板の表面にアルミニウム・亜鉛・シリコンなどでメッキした鋼材を指しています。金属屋根系の素材としてはトタンが普及していたのですが、非常にサビやすいという弱点があり、一般住宅の屋根材としては現在では使われなくなっています。ガルバリウム鋼板は、こういったトタンの弱点を解消し、金属なのに非常にサビに強く、軽量という点で屋根業界でシェア率をのばしています。
ガルバリウム鋼板屋根の主なメリット。
① 耐用年数が長い
② 非常に軽量で建物の耐震性向上に有利
③ 防水性・防火性が高い
④ 勾配の少ない屋根に対応できる
金属屋根が、近年これほどまでに人気になっているのは、「軽量で耐震性向上に一役買える」というメリットが大きいからです。
ガルバリウム鋼板屋根のデメリット。
① 断熱性・遮音性が低い(断熱材一体型が登場している)
② キズやへこみに弱い
③ 施工できる業者が限られる
ガルバリウム鋼板屋根は、非常に薄い鉄板の屋根材ですので、何の対策もないまま施工すると、断熱性・遮音性が低さが問題になるケースがあります。ただ、現在のガルバリウム鋼板屋根は、断熱性や防音性の問題を解消するため、断熱材が一体となったものが販売されていますので、そういったタイプを導入すれば特に問題にはならないでしょう。
ガルバリウム鋼板屋根の施工単価は、1㎡あたり6,000円~12,000円程度となります。 耐用年数が非常に長く、30~40年は問題なく使用できますので、中長期的に見るとお得かもしれません。
(3)陶器瓦

瓦屋根は、粘土を高温で焼成して作った日本の伝統的な屋根材です。
陶器瓦は、上述したスレートや金属屋根にシェアをかなり奪われていると言われています。
陶器瓦のメリット
① 他の屋根材と比較すると、耐用年数が非常に長い
② 塗装メンテナンスが不要
③ 再利用が可能
④ 独特な日本建築の外観を実現できる
瓦の非常に大きなメリットは、他の屋根材では考えられないほど長期的な寿命を持っている点です。瓦の高い耐久力は「100年以上使えるものがある!」と解説される場合が多いのですが、実は1000年以上現役で使われている瓦もあるそうです。
陶器瓦のデメリット
① 屋根材が非常に重いため、建物に高い強度が必要となる
② 他の屋根材からリフォームで瓦にするのが難しい
③ 基本的にカバー工法によるリフォームができない
④ 施工費が高い
陶器瓦が敬遠されている理由は、屋根材が非常に重いことから「建物の耐震性を下げてしまう」と考えられているからです。瓦だから耐震性が悪いというわけではなく、重量のある屋根を支えるため、家そのものの強度を高くしなくてはいけないので、屋根にコストがかかるだけでなく、家全体の建築コストが高くなってしまう点は非常に大きなデメリットと言えるでしょう。
瓦屋根の施工費に関しては、スレートの2倍近い相場となり、1㎡あたり9,000円~16,000円程度です。ただ、先ほどご紹介したように、瓦は非常に高い耐久力を誇りますので、瓦そのものは50年程度はメンテナンスフリーです。注意してほしいのは、漆喰などの副材はメンテナンスが必要ですので「瓦屋根はメンテナンスフリー」とは考えないでください。
(4)陸屋根

これは屋根材とは少し違い屋根形状を指しているのですが、近年の新築業界では非常に高い人気を誇る屋根なので簡単にご紹介します。
陸屋根は、人が立ち入ることのできる、傾斜のない平らな屋根のことを指していて、簡単に言うと屋上のことです。現在の新築業界では、狭小地に3階建て住宅を建築することが増えているため、洗濯物を干す場所として、子供を遊ばせる場所として、屋上を求める方が増えています。陸屋根を作る場合には、上述したような屋根材を施工するわけではありません。
陸屋根のメリット
① 屋根スペースを有効活用できる
② 屋根メンテナンスが容易になり、安価
③ 居住空間が広くとれる
陸屋根は、「屋根スペースを有効活用できる」という点を最大のメリットとみなして導入する方が増えています。
陸屋根デメリットも存在するので注意してください。
① 雨漏りリスクが高い(水はけが悪い)
② メンテナンス頻度が高い
③ 2階部分の居室が暑くなりやすい
陸屋根は、「ウレタン」「FRP」「シート」など防水工法により実現するのですが、施工費用はどの手法を採用するのかによって異なります。一般的な相場は、、1㎡あたり8,400~1万3,000円程度と考えておきましょう。
なお、防水塗装は、施工方法によって多少上下しますが、12~20年程度が耐用年数です。陸屋根の床面にひび割れやふくれ、破れなどを見かけた時や、コケなどが生え始めた時は、専門業者にメンテナンスを依頼しましょう。
(5)トタン屋根

一昔前までの金属屋根の主流がこのトタン屋根です。ただ、現在では一般住宅で採用されることはほとんどなく、小さな倉庫などで採用されることがたまにある程度でしょう。
トタンは、表面に亜鉛メッキを施した鉄板を使用した屋根材で、ガルバリウム鋼板と同じく軽量で、さらに扱いやすい点から、高度成長期の日本国内では多くの場面で採用されていました。しかし、ガルバリウム鋼板登場以降は、屋根材としての出番はほとんどなくなっています。
トタン屋根のメリット
① 施工費用が安い
② 非常に軽量なので建物への負担が少なく耐震性に優れる
③ 扱いやすい
軽量で安価だという点は非常に大きなメリットです。
トタン屋根のデメリット
① 耐用年数が短い
② サビが発生しやすい
③ 断熱性・遮音性が低い
トタン最大のデメリットは、耐久性の低さで、場合によっては施工から2・3年でサビが浮き始めることもあります。
1㎡当たりの施工費は5,000円~6,000円程度と安価なのですが、他の屋根材よりも耐用年数などが短い点は住宅の建材としては適さないと考えられるようになっています。トタンは、適切なメンテナンスを行っていたとしても、10年程度が耐用年数で、長くても20年ぐらいしか持たないでしょう。
(6)アスファルトシングル

アスファルトシングルは、アメリカなどでは良く採用されているのですが、日本ではここ10年間で普及し始めたと言えるような比較的新しいマイナーな屋根材です。表面をアスファルトでコーティングしたシート状の屋根材で軽量なのが特徴です。
アスファルトシングルのメリット
① 防水性・防音性が高い
② 屋根材の中では軽め
③ かなり安価な製品がある
アスファルトシングルにもいくつかの種類があるのですが、中には非常に安価な製品がある点がメリットでしょう。また、シート状の屋根材なので、瓦などと比較すると圧倒的に軽量です
アスファルトシングルの屋根のデメリット
① 日本国内に、施工できる業者がまだ少ない
② 強風で剥がれることがある
③ 乾きにくい材料なので、コケや藻が生えやすい
アスファルトシングルは、耐用年数が20~30年で、1㎡当たりの施工費は3,500円~12,000円程度です。日本では、まだ普及し始めたばかりの屋根材ですので、施工やメンテナンスができる業者が少ないので、導入したくても近くに施工できる屋根業者が見つからない場合が多いかも知れません。
2.まとめ
日本国内での屋根事情を考えてみると、基本的にスレートかガルバリウム鋼板屋根が主流となっていて、その次に瓦屋根が続きます。この3種類の屋根材の特徴を抑えておけば、使用する屋根材に困ることはないと思います。陸屋根については、防水塗装の方法を検討するだけで、屋根材は関係ありません。
屋根材選びのポイントについては、「昔ながらの日本家屋の外観が好み」という場合なら和瓦の採用がおすすめですが、それ以外はスレートかガルバリウム鋼板屋根のどちらかを選ぶのが良いでしょう。この二つの屋根材は、軽量な作りになっているため、瓦屋根ほどの建物強度を必要とせず、建築コストを安く抑えることが可能です。
現在、ご自宅の屋根の葺き替えなどを検討して、どの屋根材が良いか迷っている方がいれば、お気軽にハウスラボまでお問い合わせください。


